【母校、最後の大会優勝】〜甲子園に行きたかった〜
夢の甲子園
全国高等学校野球選手権大会(通称:夏の甲子園)、野球少年が目指す夢の聖地への大会が今年、コロナウィルスの影響で中止となりました。
私も高校野球で親元を離れ3年間、甲子園に出場するべく高校時代に一生懸命汗を流しました。
あの時ほど熱い日々は二度と来ないのでは無いかと思うくらいの素晴らしい時間でした。
しかし、今年の三年生は悲劇の年となり約2年半最後の夏の大会の為に積み上げてきた成果を発揮する場所が見えない敵によって奪われてしまいました。
その大会の為に必死に練習し、野球漬けの毎日を送りどんな時でも踏ん張ってきた。
その頑張りが、甲子園のために積み上げた成果が発揮できない。
今までの練習が無意味に思えてくる。何のための3年間なんだ。と感じた選手達はたくさんいただろうと思います。
もしも自分の年がそのような事態になったら自分はどういった行動を取れるだろうか。きっと、悔しくて悔しくてたまらないでしょう。
実際それに直面している選手や指導者は私の想像を超えるほどの悲しみに暮れているのだろうと考えると言葉が見当たりません。
私は高校時代にたくさんお世話になった母校の監督に、正直かける言葉なんて見当たりませんでしたが何とか励みになればという思いのみで電話をかけました。
すると20分ほどの動画が送られてきました。
監督が夏の大会の中止を選手に伝えている動画でした。勿論選手は泣いていました。撮影者の鼻すする音まで聞こえてきました。
しかし、私の目には選手達に言葉を震わせながら本当に申し訳なさそうに、言葉を選びながら伝える監督の心が見えて、涙がこぼれました。
「甲子園が無いと決まった今、これからがお前達の人としての真価が問われる」
動画のミーティングでこの言葉をかけられた三年生達が7月17日から8月4日にかけて行われた夏の大会の代替大会で優勝を果たしました。
甲子園への切符にはならないが、この大会で優勝したことが何よりも意味をなすだろうと思います。
優勝が決まった後の監督インタビューで、「コロナによって甲子園大会がなくなったことによって得られたもの、もっともっと大切なものを教えていただきました」と話している監督を見て心の底からこの人に高校野球を学べて良かったなと感じました。
このコロナによって心が荒んでいく人間が増えるのではなく、何か人として教わること、学ぶことのできる人間が増えていくといいなと思いました。
まさに『心の野球』でした。夏の大会優勝本当におめでとうございます。